【消防設備改修工事の概要】
定期的な消防設備点検を実施していく中で、建物の老朽化などに伴い年数が経過すると様々な消防設備の不良箇所が判明していきます。
消防設備の適切な維持管理をしていく上で定期的な消防設備 点検を実施し判明した不良事項につきましては早急な改善が 必要です。建物の管理者としましては、消火器やバッテリー交換 など定期的に出てくる改修事項については実施するものの、
突如として明らかとなる不良事項については理解し難いという
方も多いと思います。
しかしながら建物を管理して15年ないし20年と経過して いく中で、いずれ消防設備が故障していくのは必然です。 管理者・オーナ様としましては是非、消防設備メンテナンス 業者の話をよく伺って、現在の消防設備の状態を把握 頂いた上で、消防設備不良事項の前向きな改修を 検討頂ければと思います。
【よくある消防設備の改修工事】
・感知器,スプリンクラーヘッド等の未警戒
→テナント変更等による間仕切りの増加で感知器や
SPヘッドの増設・移設が必要となる
・消防設備各種の器具交換
→消防設備器具が経年劣化等により作動不良となる。
誘導灯は常時点灯し器具自体が高温で保持されるため
器具不良となる率が高い。自火報受信機や非常警報装置、自火報総合盤、ベルなど
器具不良となる設備は様々。
・避難ハッチの改修
→ベランダにある避難ハッチは現在はステンレス製でスチール製は失効となったが10年以上
前の建物はスチール製のため錆びて腐食しやすい。
・連結送水管BOXの改修
→避難ハッチ同様、連結送水管BOXはスチール製だと錆びて腐食しやすくステンレス製への 改修が必要です
・消防設備不良の原因調査
→消防設備不良の中には消防設備点検だけでは原因が特定できない不良も数多く存在
します。シャッターが作動しなかったり非常放送のスピーカが一部鳴動しなかったり種類は
様々です。今までの点検経緯も判断材料となります。その際には原因調査後、見積提示
したり、調査の為に費用を頂く事もあります。
・用途変更や法改正による改修
→建物の用途変更で非特定用途から特定用途になる事により誘導灯や避難器具などの
設置が必要となったり、消防法改正により新たに自動火災報知設備の設置が必要と
なったりします。
【消防設備の不良判定について】
消防設備の不良判定はなかなか難しいと思います。
感知器が作動しなかったり誘導灯が球やグローを交換
しても点灯しなかったりと明らかに不良である場合は
良いのですが、避難ハッチの枠錆がひどいものの使用
できない状態ではない、とか感知器が作動するが感度が
鈍い等、不良にするには微妙な状態の事が多々あります。
弊社では元来、消防設備が壊れるまではできる限り
補修等をして使用し続けるという方針で点検を行なって
いました。消火器の格納箱の錆びなど錆止めの赤スプレー を施したり、接触不良などにより器具がうまく作動しなかった 場合は何度も作動させたり注油したりして動きを良くして作動できる状態にしたり等。
しかしながら私は最近では不良判定についてオーナ様に消防設備の状態をよく説明し理解を求めるよう心掛けています。なぜならば、できる限り費用をかけず器具を持たせて欲しいと考えているとは限らないからです。例え使用できるとしてもボロボロの器具が設置されていれば建物の美観を損ねると考える方もいれば、何とか使用できる状態であっても、いつ作動できない状態に戻るかわからないのであれば新品にして欲しいと考えているオーナ様もおられるからです。
また、近年では誘導灯なども省電力の高輝度タイプが出てきており古いまま使い続ける事が費用を削減する事とは限りません。
私としては消防設備の現在の状態が不良か否かはっきりと判定し、現在、正常であっても交換を推奨するべき器具についてはよく説明した上で、お客様に判断を促す事としています。 |